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洪鋒雷・赤松大輔研究室@横浜国立大学 理工学部・大学院工学研究院では、超精密分光・量子計測を専門とし、光コム、光周波数コム、光時計、原子・分子、原子時計、量子標準の研究・教育を行う

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 学生のひろば

CLEOの会場であるSan Jose Convention Center

諦めずに挑戦して掴んだ夢のような時間


池田幸平


 世界が未曽有の事態に陥っていて学会もオンラインが主流になった今、昨年参加した二つの国際会議について思い返してみたいと思います。一つ目は5月に参加したCLEOです。CLEOは毎年サンノゼで開催されており、世界中の光分野の研究者たちが一堂に会する権威ある国際会議です。そんな大舞台への初参加、しかもいきなりの口頭発表ということで渡米前は少し緊張していました。空港に到着してホテルのチェックインを済ませた後はすぐに会場に向かいました。Registrationで受け取ったネームホルダーを首にかけた瞬間は気が引き締まる思いがして、これから始まる本番に対する楽しみと不安が入り混じった複雑な気持ちでした。

 私の発表は4日目の午後でした。セッション開始前に座長と握手を交わし、和やかな雰囲気で始まりました。学会発表はともに研究を支えてきてくれた周囲の人々の思いを背負っています。聴衆の中には日頃からお世話になっているNTTエレクトロニクスの西田さんもいたため、不甲斐ない発表はできないという気持ちが強かったです。前日まで必死に暗記した英語と少々のアドリブを交えながら発表した15分間はあっという間に感じました。セッション終了後、ほっと一息ついたところにIMRA AmericaのFermannさんから“Good work”と声をかけてもらったことが嬉しかったです。


Registration後、会場エントランス前にて

 二つ目の国際会議は6月にドイツのミュンヘンで開催されたCLEO Europeです。著名な物理学者を数多く輩出しているドイツで発表を行えるのはとても光栄な気持ちでした。今回はポスター形式の発表で持ち時間は1時間でした。聴講に来てくれた人の中にはマックスプランク研究所の方が数名いたのを覚えています。会期中にNISTのScott Diddamsさんを見かけたため、勇気を出して話しかけに行くと、真っ先に”I remember you”と言ってくださり、前年Scottさんが来日した際にお会いした時のことを覚えてくれていた事に感激しました。

ある日の夕食時に訪問したレストラン。ドイツでは20時になると街中のほぼすべてのお店が閉まってしまいます。

 会期中は朝8:00ごろから夜19:00ごろまで発表が行われ、世界の動向やトレンドを知ることができます。最先端の研究成果はさることながら、登壇者のプレゼン能力や聴衆の態度から勉強させられることもあります。慣れない英語を脳に無理やり聞かせて分かった気になった後、ホテルに帰るとどっと疲れがのしかかる毎日でした。しかし、日本の学会とはまた違う雰囲気が面白く、毎日欠かさずあるCoffee Break、中庭で楽しくビールを飲みながら過ごすLunch Break、現地の料理が振舞われるDinner partyといった楽しいイベントが多く予定されていて、人脈を広げられることも学会参加の醍醐味の一つだと思います。二つの国際会議を通じて国内外の多くの研究者や学生と交流することができました。

帰国直前にかつて洪研に短期滞在していたMonaさんと再会。これも楽しみの一つでした。

 最後になりましたが、この度の国際会議の参加に際してご協力いただいた皆様に感謝いたします。国内学会への参加すら緊張で怯えていた自分が今や国際会議で登壇できるようになりましたのも洪先生をはじめとする周囲の支えがあったからです。CLEOに関しては3度目の挑戦でようやく参加が認められたため、特に思い入れが深く、夢のような時間を過ごすことができました。あれから一年半が経った今、「後輩の皆さんもぜひ!」とは気軽に言えない状況になってしまいましたが、一刻も早く事態が収束して再びこのような国際的な交流を行える日が戻ってくることを願っています。

(2020年12月07日)




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